管理士全体の団体として積極展開 士業法制定の道筋を視野に管理士の底上げ目指す

コラム/インタビュー

日本マンション管理士会連合会の新会長に瀬下義浩氏が就任した。管理不全の予防や建物の長寿命化を見据え、マンションの管理状況を適正に評価しようとする動きが目立つ中、管理組合への支援などでマンション管理士が果たす役割も大きくなる。日管連はどう舵を切るのか、今後の方針を瀬下新会長に聞いた。

 

 

 

――マンション管理を取り巻く現状と課題について。

瀬下氏 日本の都市部においてマンションは社会資本。マンションがスラム化すればまちづくりも進まないのに、マンション管理が不動産の価値として評価されていない状況がある。管理に重要性を持たせるためには、管理業界やマンション管理士、さらにデベロッパーも含め一体化して行動しなければならない。

不動産業界が一堂に会して9月に設置された「マンション管理適正評価研究会」はそうした意識のもとにあると考えており、業界が一体になって取り組むことに意義がある。それぞれが自らの利益を考えて行動すると管理の適正評価も定着しないし消費者も困る。例えば、新築で修繕積立金に均等積立方式を採用したマンションも現れたが、均等積立方式に対する社会的な評価がまだない。重要事項調査に記載して訴求することも考えられるが、管理業界全体で変えていくことで社会的な評価を変えていかなければならない。

ただ、管理会社ではビジネスの視点に偏るところは否めず、日管連も法定業務への要望に偏っているところがあった。偏りを緩和させて取り組む必要があり、それぞれが連携して活動しないと国にも動いてもらえないだろう。

――日管連としての活動にどう取り組むか。

瀬下氏 日管連はマンション管理士に関する唯一の全国組織ではあるものの、日管連のことだけを考えているといつまでも管理士全体の団体と認識されない。こうした考えはこれまで少なかったかもしれないと反省もしている。一方で、2016年のマンション標準管理規約改正で外部専門家の活用が盛り込まれたからには、我々もそれに応えなければならない。この間、管理組合が第三者管理方式を導入する上で安心して管理士に委託できるための「管理組合損害補償金給付制度」や、管理士がマンションの管理状況を診断した結果により共用部火災保険の割引などにつながる「マンション管理適正化診断サービス」を設けてきて、管理士が活動する上でのベースをつくるのに注力してきた。適正化診断サービスは全国で13万棟あるマンションのうち1万棟に迫る棟数で実績ができており、外部の公平性のある管理士が状況を診断することにも意義があったと考えている。こうしたベースが整備されたので、今後は積極的に展開していきたい。

損害補償給付金制度や適正化診断サービスは日管連の独自の施策であり、国や自治体にもこうした取り組みをしていることをさらに訴求していきたい。施策を説明することで、自治体からも日管連の会員組織である各都道府県のマンション管理士会への信頼が高まり、施策への協力を依頼されることが増大してきた。適正化診断サービスや給付金制度などを整備して活動しているという評価がより定着してくれば、マンション管理士として活動する上では管理士が各地の管理士会に入会する必要性も高まるだろう。日管連が打ち出してきた施策にきちんと取り組みその啓発を進めていくことが、管理士会の認知度向上や管理士の入会促進の上でも重要だ。

自治体でも、東京都のようにマンション管理に関する条例を制定して管理状況を把握しようとしたり、実態調査に乗り出す動きが目立つ。管理士会ではセミナーの開催や実態調査などで行政の協力を担っており、今後も推し進めたい。日管連でも各地の行政の動きを調査し、全国の管理士会が情報共有できるようにする。他地域の動きを参考にしてそれぞれの活動につなげてもらう。

――管理士のレベルの底上げをどう進める。

瀬下氏 日管連に登録する管理士には法定講習の受講を義務付けており、修了証の提出を求めたり、未講習の場合には受講義務付けの念書を提出させている。一方で日管連に登録していない管理士には受講していない人も多数おり、管理士全体でみたときの評価にもつながるので何らかの対応が必要と考えている。例えば、日管連に登録していない管理士も含めた苦情処理窓口を設けるのも方法だろう。そのためには日管連が法定業務に関われる何らかの形も必要になってくる。管理士がマンションの中で歯車になるには、そうした方向性もあると考えている。

今期の事業計画でも、マンション管理適正化法における指定法人への指定を目指した活動を盛り込んだ。外部専門家を活用する上でも管理組合の銀行印を預かるならば有効な保証制度が必要になるが、我々も損害補償金給付制度を運用して実績が積み上がってきた。実現には法改正が必要になりそのタイミングは見極めなければならないが、その必要性やこの間の活動実績などをアピールしていきたい。

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