管理組合が資金収支や修繕工事費用を試算できるシステム構築へ 修繕工事の結果を市場価格に反映させる仕組みを中長期的に検討

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住宅金融支援機構、金融支援のあり方勉強会が最終報告

住宅金融支援機構が設置した「マンションの価値向上に資する金融支援のあり方勉強会」が最終とりまとめを作成した。管理組合が将来の資金収支や修繕工事の費用を試算できるシステムの構築や、金融機関が管理組合に融資する上での信用リスクを回避する仕組みの整備など、七つの取り組みを設定。早いものは2019年度から実施していく。一方、適切な修繕工事の実施が市場価格の動向に反映するための金融上の役割を洗い出す必要があるとし、中長期的に検討していく方針も示した。

 勉強会では、マンションストックの再生や長寿命化に金融インフラを活用する上での三つの課題を抽出。それぞれの課題に対応するために7つの取組を示した。

 一つ目の課題には管理組合のガバナンス機能の低下を挙げ、対応する取り組みとして、①修繕工事の必要性や金融の有用性を訴求する広報活動、②修繕工事等のモチベーション向上につながるメリットの検討、③マンション版ライフサイクルシミュレーションの作成─の3つを据えた。広報活動については、勉強会では修繕工事を実施する上での資金の借り入れに抵抗感を持つ区分所有者が多く、適切な修繕工事をあきらめるケースがあるとの指摘があったことから、修繕工事や金融の重要性を行政やマンション管理の専門家、金融機関などが連携してPRする。

モチベーション向上につながるメリットの検討では、修繕工事の実施がマンションの市場価値向上にどういったメリットがあるかわからないことが工事を実施する上での合意形成の障壁にもなっていると考えられるため、修繕工事を実施したマンションが中古住宅市場で評価される仕組みを検討する。工事品質の評価についても検討するほか、修繕した住戸の売買に関する住宅ローンの担保評価や、融資対象となる管理組合の範囲拡大なども検討する。

 さらに、融資による利子返済などで負担が増えることも借り入れへの抵抗感につながっているとみられ、将来にわたる長期的な資金収支の計画の中で融資を位置付け、負担感を抑える必要もあると想定。そこで、機構が持つ融資のデータなどを活用し、マンションの築年数や規模、資金収支などから必要な修繕積立金の水準や適切な資金計画をシミュレーションできるシステムをウェブ上に公開する。

 広報活動とシミュレーションの作成は20年度までの実施を目指す。メリットの検討は中長期的な検討テーマとした。

 二つ目の課題には、管理組合向け融資の受け皿の少なさを挙げている。「住宅ローンやアパートローンの金額が兆単位の規模に対し、修繕工事に関するローンは億単位」(機構)という市場規模の未成熟さによるノウハウ不足に加え、民間金融機関からみると管理組合が返済不能となった際の担保の確保など、リスクヘッジの取り方にも課題がある。そこで、修繕工事で融資を受ける際に、公的機関との連携による融資でリスクを分散させる方法を探るほか、返済不能となったときの回収方法、組合向け融資に関する信用リスクについても整理する。20年度までの実施を目指す。民間金融機関による支援が円滑に進むよう、機構や専門家などのノウハウを生かしたサポート体制の確保も中長期的に検討する。

 三つ目の課題には、機構の共用部分リフォームローンの商品性改善を挙げた。融資申込書の作成など管理組合が負担感を感じている手続きについて、入力をわかりやすくするツールを作成する。また、融資要件のうち滞納割合の基準が障壁になっているため、基準などの見直しも進める。  取り組みの実現に向け、19年度は勉強会を発展させる形で「マンションの価値向上に資する金融支援の実施協議会」を設置する。取り組みの具体的な実施方法や枠組みなどについて検討するため、協議会の中に分科会を設けて議論していく。それぞれの取り組みの実効性を高めるため、マンションの管理状況や修繕積立金の保有状況などによって管理組合を類型化し、カテゴリーに応じた金融支援に乗り出すことも想定している。

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