横浜市の井土ヶ谷マンション建替組合が活動を紹介 白紙撤回からの建替え再検討を語る

管理組合

 横浜市にある分譲マンション「下之前住宅」の建替えが決まり、建替組合がこれまでの活動を横浜市住宅供給公社の開催したセミナーで紹介した。検討の中で建替えがいったん白紙になりながらも再検討して建替えにこぎつけたことなどが紹介され、登壇した塚本四口六・(仮称)井土ヶ谷マンション建替組合理事長は「区分所有者からは多様な意見が出るが、その中でのベストを探るべき」などと語った。

 下之前住宅は1968年に同公社が分譲した事務所併設マンションで、RC造5階建て延床面積1438㎡、住戸数は16戸。2012年から再生に向けた合意形成を進めて18年に建替えを決議し、RC造7階建て延べ2769㎡、30戸の「(仮称)井土ヶ谷マンション」に建替える予定だ。9月末に権利変換計画が認可されており、19年春の着工、20年の竣工を目指している。

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 塚口理事長は、15年に住宅の再生方針について決議した際に建替えを進める意見と改修を実施する意見が同数となり、公社へのコンサルタント委託が白紙となる事態に陥ったことを説明。「コンサルタントに再び委託したいと決議を諮ったが、費用を出したくないという区分所有者の意見などもあり、賛成者が現れなかった。ただ、マンションは多様な問題を抱えており、それを解決するにはコンサルが必要だと考えていた。そのときに区分所有者の皆から率直な意見を聞く懇談会を開き、理解を求めて話し合えたのが良かった」と、抱えている課題に正面から向き合い、現状の改善に向けた合意形成の場を持てたことが再検討につながったと話した。また「コンサルの費用は月割や人数割にすると大きな負担にならなかった。また補助金の活用もできる」と、費用面での負担が減らせることが説明する中で理解された点を再検討することのできたひとつの理由に挙げた。

 下之前住宅は、1階に入居していた事務所の法人と合同の管理組合がなく、管理規約は分譲当初のまま変更されていない状態となっていた。長期修繕計画も策定されておらず、修繕積立金が不足する状況にあったが「これまでも支障があった際に修理するという対応で、今後もそれでいいいという考えがあった」とそれまでの認識を振り返った。その上で「法人との関係も整備していなかったが、コンサルタントのサポートを受け課題と認識できた。方針を含めた管理組合をつくり、規約も整備している。再生に何から着手すればいいかわからず、区分所有者の財政状況も話しにくいので、第三者を介して検討できたのが良かった」とコンサル委託により状況の改善につながったと話した。

 費用負担については、同マンションは還元率が15%ほどと低く自己負担が多くなるという課題があったものの「改修してもエレベーターの設置や耐震性向上などの費用がかかり、建替えとさほど変わらないことがわかると、建替えの意見が強くなった。費用の確保を懸念する声は多かったが、建替え決議に賛同すれば、建替え後に入居しなくても権利変換計画により補償金の給付を受けられることが分かったのも大きかった」とし、金銭面での不安が軽減されたことが建替えに進んだひとつのきっかけになった点も強調した。

 建替えは、横浜市による事業補助などの支援も寄与した。市では、建替える場合に自己負担が必要になるマンションを対象に計画費や整備費を補助する「横浜市マンション建替促進事業」を適用。調査設計計画費や建物除却費、共用部の施設整備費の3分の2までを補助するなどし、事業を後押ししている。同事業を活用した建替えは、06年に要綱を整備して以降今回のケースが初めてとなる。市では建替え推進決議を可決したマンション1件にも同事業の適用を決めており、今後も老朽化したマンションの再生支援に注力する。

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