敷地売却制度の適用拡大、団地の敷地分割など検討へ 国交省検討会が取りまとめ、法改正の議論に展開

政策動向

国土交通省は、マンションの適正管理や再生に向けた今後の施策の方向性について、有識者を交えた検討で取りまとめた内容を明らかにした。地方自治体によるマンション管理への関与を促す仕組みの構築や、耐震性不足のマンションに限られている特別多数決による敷地売却の適用拡大、団地型マンションの敷地分割による棟ごとに再生できる仕組みの確立─の3点が柱。これらの実現には法改正が必要になる事項もあり、今後はそうした議論に発展する見込みだ。今回提示された方向性が固まる今夏以降に本格化することになる。

国交省が有識者で設置している「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」に設けたワーキンググループ(座長=小林秀樹・千葉大大学院教授)が昨年10月から議論し、今年3月末に開催した検討会で内容を報告した。高経年化するマンションストックが増大していく中、適正管理を促進する方策やマンション再生を円滑化する仕組みを早急に構築する必要があるとして、3つの施策を提示した。
 地方自治体によるマンション管理への関与については、管理が適正に行われていないマンションに行政などが関与できる仕組みを構築する方向で検討すべきと提言。区分所有者の高齢化などに伴い管理組合役員のなり手不足や修繕の資金不足が生じ、適切な管理が行われずに周辺環境に悪影響を与える懸念も高まっている。マンションの管理や運営には専門的な知識や経営的な感覚も求められ、区分所有者での管理には限界があるとの指摘もある。このため、自治体がマンションの管理状況を把握する制度や、修繕の代執行など管理状況に応じて必要な措置を取る制度の確立を示している。実現に当たっては、国が自治体に対し、管理への関与を働き掛ける形などが想定される。
 敷地売却制度は、耐震性が不足しているマンションに限り5分の4以上の多数決などで敷地を売却できる現行制度の対象を拡大する。とりまとめでは、建物の劣化が居住者や周辺住民などの生命・身体に危険を及ぼす確率が高まっているマンションにも制度を適用できるよう検討すべきとしている。現行の制度はマンション建替円滑化法で決議要件を規定しており、耐震性が不足していないマンションでの敷地売却は民法に基づき全員合意で決議されなければならない。提言を具体化するには、こうした法律の改正が必要になる。敷地売却制度の適用拡大は、再生手法のひとつとして日本マンション学会が解消制度として提唱するなど、制度の適用拡大への指摘が高まっていた。
 団地型マンションの敷地分割については、現状では団地型の全棟を一括で再生する手法に限られる実態がある中で、棟ごとに再生手法を選択できる仕組みを求めている。全棟一括の建替えでは棟ごとの立地条件や考え方などの違いにより合意形成が困難で、敷地を分割して一部を売却するにも全体の全員合意が必要になるなどハードルが極めて高い。そこで新たな枠組みを設け、棟ごとやブロックごとに建替え・再生を実施できるようにする。また、建築基準法の一団地認定についても「団地型マンションの再生を可能とする所要の措置を検討すべき」と提言した。
 取りまとめが報告された検討会では、国交省の真鍋純・官房審議官が「多様な課題があるが、法律レベルや予算レベル、運用レベルなどでどこまでできるか検討したい」と、提言の内容に応じ、法改正を含む多様な方法で対処していく考えを表明した。特に法改正については「政府内部での検討に加え、団地やマンションについては国会議員から多くの意見が寄せられているので、政治レベルの意見を伺う場も必要だろう。審議会の場も含めて議論していく」とし、法改正に当たっての検討の場となる社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の開催のほか、国交省を超えた検討に踏み込む考えも示唆した。

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