川崎市、支援制度一本化で子育て世代定着狙う 管理不全への行政関与へ仕組み検討

政策動向
川崎市マンション管理組合登録制度の図

 

川崎市マンション管理組合登録制度の図


 川崎市は、子どもから高齢者までが住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの確立を見据えたマンション支援策に取り組む。適正管理の促進やコミュニティの活性化などに行政が関与・支援する方法を検討する方向で、支援制度の見直しや新たな枠組みの整備を念頭に置いている。施策により子育て世代の定着やマンションの長寿命化などを狙う。
 マンションの支援策は、市長の諮問機関である住宅政策審議会(会長=田村誠邦・明治大学特任教授)からの提言をうけたもの。少子高齢化への対応や横浜市などへの子育て世帯の転出超過を課題ととらえ、誰もが住み慣れた地域や自らが望む場で安心して暮らし続けられる住まいづくりについて施策を諮問した。提言では子育て世代の定住や高齢化世帯の安心居住に向けた環境整備に加えマンション支援策の再編などが打ち出され、マンションの支援策では認定制度の見直しと、管理の適正化や再生・建替えの促進に向けた新たな枠組みの検討の2つが提言された。
 認定制度の見直しでは、「子育て等あんしんマンション認定制度」と「マンション管理組合登録制度」を統合した「川崎市マンション管理組合登録・支援制度」を12月にも施行する。新制度は、要件なしに登録できる仕組みとして手続きを簡素化。登録すると、維持管理や子育てなどに関する施策を定期的に情報提供するほか、管理組合同士での情報交換ができる交流会への参加や講師や管理アドバイザーの派遣、段差解消工事の助成といった支援が受けられる。
現行の認定制度は、集会室の仕様を乳幼児に配慮したり、住宅性能評価が一定の基準にあるマンションを認定し、子育て相談員の派遣などの支援を行っていた。ただ、認定実績は2008年の実施以降で合計11件に留まり、認定の有無が子育て世代の物件を選定する決め手になっていない課題があった。認定手続きも手間になっており、登録制度による手続きの簡素化により支援を気軽に受けやすくする。これまでの登録制度は登録すると管理組合の活動に有意義な情報を提供する仕組みだったが、統合により子育て世帯や高齢者世帯など世代を超えた情報を発信でき、マンションにどの世代が居住しても誰もが暮らし続けられる支援が行き届くとみている。高経年化が進むマンションの適正管理に関する情報も発信し、マンションの長寿命化などにもつなげる。
市は、認定制度がハード面で整備を誘導していたところから、新制度は情報や支援策を周知するソフト施策中心に転換させる。マンションは各世帯に施策や情報を届けにくい状況があるとし、新制度を情報発信のひとつのツールにしたい考え。マンションの適切な維持管理や再生を行政で働き掛ける上で重要な足掛かりになるとみており、すべてのマンションへの登録を目標に啓発に取り組む。
一方、行政がマンションに関与する新たな枠組みについては、マンションの高経年化と区分所有者の高齢化による2つの老いが適切な維持管理の支障になるとし、組合の不存在や無力化による管理不全を防ぐための積極的な行政関与を可能とする仕組みを想定する。現実に管理の仕組みが働いていないマンションへのアプローチをいかに進めるかが焦点で、住宅政策審議会などの場で引き続き議論していくことになる。

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