マンション防災計画の立案へツール開発 地図上にデータ搭載、状況可視化し検討促す 大阪・北区を皮切りに普及へ 管理協

政策動向

 マンション管理業協会は、マンションの防災計画策定を推進するため、マンションや周辺地域の持つ属性を地図上に一元化するツールを開発する。ハザードマップのデータや避難所の分布、町会・自治会の情報に加え、マンションの築年数や居住者の年齢構成、要介護者数などのデータを重ねて可視化させる。ツールを活用すれば管理組合が計画立案する際の検討材料が容易にそろうほか、地域単位での計画作成やコミュニティの形成に向けた状況把握などにもつなげられる。まずは大阪市北区と連携し、同区を対象としたツールを2019年度内に完成させる。この事例を足掛かりに、ほかの自治体とも連携を広げたい考えだ。

 マンションの防災計画策定にあたっては、専門家への委託コストが大きいほか、情報収集する場合も行政の持つデータが部局によって散在し、過大な労力を強いられる課題があった。そこで管理協は、GIS(地理情報システム)と呼ばれる地図上にデータを蓄積できるソフトに、マンションや防災に関する情報の搭載を検討。地図上で災害の危険性を明確化するとともに、防災計画を立案する上での検討材料にしてもらい、マンションや地域の防災力向上に生かす。

 データには、マンションの築年数や住戸数、規模といった情報のほか、地震や水害のリスク、地盤や標高の情報、避難所や津波避難ビルの位置、町会のエリアや会長の情報なども盛り込む。さらに、国勢調査や人口動態調査などから周辺地域の年齢構成や就業状況、高齢化率、要介護者数などもデータ化。GISに蓄積することで、高経年マンションの分布状況のほか、高齢者の多いエリアの把握や避難所の分布なども地図上でわかるようになる。

 複層化した情報が把握できることで、高齢者や児童など居住者の特性に応じた避難計画を検討できるほか、マンションの被害想定もより詳細な検討に踏み込め、必要な対策を絞り込むことが可能になる。また、地図でマンションの周辺の状況が把握できると、丁目や番地などの区分を超えたエリアでの避難計画を検討することにもなり、地域コミュニティの形成や広域での防災の検討にも寄与するとみられる。防災の枠を超え、エリアマネジメントの検討などにも活用が見込める。

 ツールが完成すれば、管理組合が検討する際の情報収集の手間やコストが抑えられるほか、客観的なデータから迅速な計画策定にもつながる。管理会社としても、ツールを活用して管理組合に防災計画策定を提案でき、サービスの向上や新たな事業の獲得などが見込める。完成版をどのように活用して波及させるかは検討中で、データを紙に出力する方法やパソコン上で活用する方法などを模索する。  管理協は昨年から具体化に向けて調査に着手した。その中で、淀川の河口域で水害や津波への危機感が強く、上町断層による直下型地震への関心も高い北区と交渉する機会があり、情報の活用などで連携して取り組むこととなった。北区は大阪最大のターミナルであるJR大阪駅や梅田駅を抱えるエリア。約9割がマンション世帯となっている。1月には管理協関西支部と北区で地域コミュニティの推進や防災・減災の取り組みや災害対応などについて連携するため、協定を締結した。

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