マンション管理適正評価研究会が始動 管理状況をランク付け、データベースで一般に公

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マンションの管理状況が市場で評価される仕組みをつくろうと、不動産業界が一同に会して検討する「マンション管理適正評価研究会」の初会合が9月17日に開催された。事務局を務めるマンション管理業協会は、管理状況を5項目に分けて評価し、各項目の評価点の合計でランク付けする仕組みを議論のたたき台として提示。管理に関する情報をデータベースに蓄積して一般消費者が閲覧できる形も示した。管理組合が管理情報を開示する上では、マンション管理適正化法の改正もひとつの方法としている。研究会では設定すべき評価項目や評価方法などを洗い出し、今後2回の会合を開いて成案化する予定だ。

高経年化したマンションストックが増加する中で、マンションが良好な住宅ストックとして活用される上で管理状況が流通市場で評価される仕組みが必要との考えから研究会は発足した。管理協は不動産業界に研究会の発足を呼び掛けるとともに、8月には内部に「マンション管理評価検討委員会」(委員長=高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)を設け、協会としての考えを整理してきた。研究会のメンバーは▽不動産協会、▽不動産流通経営協会、▽全国宅地建物取引業協会連合会、▽全日本不動産協会、▽全国住宅産業協会、▽不動産流通推進センター、▽不動産適正取引推進機構、▽マンション管理センター、▽全国マンション管理組合連合会、▽日本マンション管理士会連合会、▽マンション管理業協会-の計11団体。有識者として横浜市立大学の齊藤広子教授、日本大学の中川雅之教授、松田・水沼総合法律事務所の松田弘弁護士の3氏、オブザーバーとして国土交通省、東京都、住宅金融支援機構も参加している。座長には齊藤教授が就いた。
管理協が提示した評価の仕組みは、評価項目に▽管理組合の体制、▽組合会計収支関係、▽建築・設備関係、▽耐震診断関係、▽生活関連-の5項目を設定し、評価する内容を各項目に選別。それぞれの項目ごとに点数をつけ、合計点によってS、A、B、C、Dの5等級に区別する。評価する内容は、管理会社が宅建業者に提供する重要事項調査報告書に記載している100項目などからランク付けできるとみられるものを選定している。具体的には、管理者の設置の有無や、管理費会計の収支、長期修繕計画の作成・更新、管理費・修繕積立金の未収率、専有部サービスの有無などの約20項目。また、管理者により評価が変わるとみられる、管理形態、修繕積立金の積立方式、損害保険の有無、借入金額の有無など約10項目を「客観情報」に位置付けて、情報開示すべき内容に挙げた。
ランク付けの対象となり得る20項目と情報開示の対象とした10項目は、情報を蓄積するデータベースに集約する。データベースは各マンションの情報を一括して閲覧できるものをイメージ。データベースに掲載するデータは管理組合での作成を想定し、マンション管理適正化法の改正により作業を義務化することを方法として挙げた。管理組合が作成した情報の客観性を保つために第三者的な立場で評価する形も必要とみて、その主体には管理業務主任者やマンション管理士、宅地建物取引士をイメージしている。データベースの運営主体のほか、整備や維持のためのコストをどう負担するかが今後の検討課題。
初会合は、管理協が提示したたたき台に沿って議論した。管理協は、消費者がマンションを購入する際に、管理に関する情報は契約直前の重要事項説明書まで知る機会がなく、管理情報が購入の意思決定に生かされる場面がないことを指摘。そのため、100項目から一部を切り出し、将来は消費者が購入検討時から管理に関する情報を知る形を想定したと説明した。参加者からは、評価する内容について「若年層が入居を検討できるように子育て支援の取り組みを評価対象にするなど、マンションの個別性が出せる形が必要」との指摘や、「借り入れの有無をマイナス評価にしてしまうと修繕工事に前向きに取り組んでいる組合を評価できない」など、評価項目や評価方法への意見もあった。また、「Cランクだった場合にその根拠を示す必要もあるのではないか。5つの等級ではなく『普通』と『良い』に分けるのも方法だ」「下位の評価だった組合にその情報を開示させるにはインセンティブが必要ではないか」など、組合にとって不利な情報でも開示させるための支援策を設ける意見も挙がっている。データベースに関しては「レインズの情報は資格者に限り見られる形だが、管理情報を一般が閲覧できるのは問題になるのではないか」との指摘や、「組合の管理情報を評価する第三者は、イメージに挙げられた管理業務主任者では管理会社の社員が多く、マンション管理士は管理組合を支援する立場になる。宅建業者も物件を売りたいという意識が働く」と、組合の情報を評価する主体の第三者性を精査すべきとの意見も挙がった。
管理協はこうした意見を踏まえ、近く開催する管理評価検討委員会で改めて議論する方針。10月下旬に開かれる次回会合に、より具体的な仕組みを盛り込んだ素案を提示する考えだ。

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