マンション・メンテナンス大会を立ち上げ 100年以上の活用へ事例共有、書籍発刊 日本建築家協会

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 日本建築家協会は、高経年マンションの再生を技術的な視点で取り組むべきことを示すため、今年度から「マンション・メンテナンス大会」を立ち上げた。高経年マンションが急増していく状況にある中、マンションを長寿命化し100年以上使っていくために取り組むべきことを提起し、取り組みの事例や現状の課題を共有する場にする。今年度から毎年秋に開催する予定で、今回は「序章」、2019年を本大会と定め、本大会に合わせて事例を集めた書籍を発刊する予定だ。

 11月14日に東京・港区の建築家会館で開かれた大会は「二つの老いはマンションを強くする」というテーマのもと、設計事務所でマンション再生に取り組む担当者が登壇し、活動を報告した。主催者となる同協会関東甲信越支部メンテナンス部会の柳下雅孝部会長は「不適切コンサルタント問題を始め多様な問題が、マンションの管理や修繕という狭い領域の中で多数起こっている。メンテナンス部会では毎月技術的なセミナーを開催してきたが、この転換期に大会と題し、建築士の立場で提言していきたい」と趣旨を説明。来年発刊する書籍については「部会員が直面している苦労をひとつひとつ事例として集め、マンションの長寿命化に対して我々に何ができるのかをまとめる。建築家には次世代に経験などを継承するバトンになるものとし、また1、2回目の大規模修繕に臨む若い管理組合が築50年のマンションから学ぶための一助となるものにしたい」と説明した。

 その後の事例紹介では、まず江守設計一級建築士事務所の江守芙実氏が、自らが再生に取り組んだ事例から高経年マンションの現状を説明した。築46年のマンションで、資金不足から必要な工事をすべて実施することができず、一部の工事を先送りしたケースを紹介した上で、「築50年マンションを次世代につなげるためには、躯体の劣化対策や浴室防水の刷新、建具の更新、耐震改修などに対応しきれるかどうかが岐路になる。実行に移せるだけの資金計画をいかに早く計画していくかが次世代につなげるカギだ。資金は支出のコントロールはしづらいが、入ってくるコントロールは比較的しやすい。計画的な積み立てに加え、管理組合で収入を得る方法も考えていかなくてはならない」と長寿命化のためには事前の資金計画の検討が重要と述べた。

 続いて、八生設計事務所の鈴木和弘氏が「長期修繕計画からの視点」と題し、修繕積立金の設定について言及した。ある管理組合は修繕委員会をこの15年間で毎月開催して修繕計画や収支計画を見極めていたため、分譲時1㎡当たり16円だった修繕積立金を10年ほどで159円まで引き上げられた事例を挙げ、「早い段階で修繕積立金が引き上げることができ、給排水管の改修やエレベーター改修、耐震診断など多様な改修を積立金の中から賄えている」と分析。「できるだけ早い時期にマンションの長期ビジョンと長期修繕計画をリンクして検討するべきだ。長期修繕計画は現行の修繕積立金が妥当かをチェックできるほか、今後の長期ビジョンを計画することにも活用できる」とし、長寿命化には早期から将来を見据えた取り組みが必要と訴えた。

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