マンションの適正管理へ制度素案 管理不全の兆候あれば個別訪問、施策実施へ条例化を視野 東京都

政策動向

 東京都は、マンションの適正管理を推進する制度の素案をまとめた。5年ごとに管理組合から届出を求める管理状況についての報告をもとに、管理不全の兆候のみられるマンションへの戸別訪問などにより助言や支援を実施。改善がみられないマンションには指導に踏み込むことで管理不全の予防や改善を促す。実現のためには踏み込んだ施策が必要とし、条例化を視野に制度を構築していくと位置づけた。

 届出を求めるマンションは1983年の区分所有法改正以前に建設され、居住用の専有部分の数が6以上のマンションを対象とする。管理組合から行政に対し5年ごとに提出する。届出表に記載された内容から行政が管理状況を確認し、管理不全の兆候が疑われるマンションを把握。兆候のあるマンションには、個別訪問を実施するほか、管理状況に関して継続的に関与していく体制を取る。それでも改善がみられない場合は指導に入る。現時点では罰則規定を設けない方向で検討している。届出対象とするマンションは、制度開始後の状況をみながらすべてのマンションに拡大していく。

 届出は、所定の書面による提出のほか、電子申請による届出も受け付ける予定。以前に実施した実態調査を反映したデータベースを拡充し、管理状況の確認に活かす。届出状況を踏まえて管理組合運営の支援も実施する。また、管理組合の届出書作成は管理業者やマンション管理士に支援してもらう。制度を実施する上での行政側の役割分担については、東京都と各市区町村で協議していく。提出を促すインセンティブも今後検討する。

 管理不全の兆候を疑う判断材料としては、①管理組合の運営体制の整備、②管理規約の作成、③年1回以上の総会の開催、④管理費・修繕積立金の設定、⑤計画的な修繕の実施―のいずれかが実施されていない場合と位置付けた。素案では、適正管理のために管理組合が取り組むべき事項にこの5項目を掲げており、管理組合の役割として位置付けている。

 また、制度に関わるこのほかの主体の役割も示した。行政は、マンションの適正管理を促進するための施策を推進し、そのために必要な指針を策定する。指針は、居住環境の向上につながるために管理組合などが適正に管理する際の基本となるものとしている。マンション管理士や管理会社には管理組合運営への助言や施策との協力を求めたほか、分譲事業者に対してもマンションの管理運営に配慮した供給に努めるよう求めている。

制度により、マンションの適切な維持管理が放置されて周辺に悪影響を与える状態を予防し、良質なマンションストックや居住環境の形成、ひいては都民生活や市街地環境の向上を目指す。行政側としては、これまで必要な施策を実施しても管理への関心の低いマンションに対する実効性が低いという課題を抱えている。そこで素案では、管理不全を予防するためには行政や管理組合、事業者などの役割を明確化し、条例化を視野に入れた制度を構築すると示した。素案は7月18日に開催した「マンションの適正管理促進に関する検討会」で提示しており、今後詳細を固めて9月の会合で中間とりまとめを作成する。中間とりまとめは10月にパブリックコメントを受け付け、内容を踏まえて11月に最終とりまとめを作成する予定だ。

条例の制定に向けたスケジュールは決まっていない。ただ、小池百合子東京都知事は6月の第2回都議会定例会の所信表明演説で「老朽化マンションについても、管理組合の機能を強化して適正管理を進めるために、条例化も視野に施策を講じる」と強い意欲を示した。

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